すべてはあの花のために⑦

 みんながその人数の少なさに驚く。


「……は? どうやってまわしてるんだよ」

「そういう、意見交換とかをしたらいいんじゃないかと思うよ?」

「確かに、それなら明日のお披露目会の犠牲者も少ない……」

「いや、あっちゃん。それとこれとは違う気が……」


 それから、みんなの意見をまとめ、百合の生徒会との交流会をすることになった。
 日にちは、4月中旬。その後も定期的に集まってはどうかという意見も出てきたので、これから生徒同士の仲は深まっていきそうな予感がした。


「それではあおいさん。帰りましょうか」

「あ、はい。そうですね」


 そうして帰ろうとした二人を、みんなは慌てて止めた。


「ちょ、ちょっと待ってアオイちゃん」

「……? はい。なんですか?」

「なんですかじゃないよ。わかるでしょ。なんで月雪くんとは一緒に帰ってるの」


 そう聞いてくるカナデに、葵は一瞬だけ鋭く目を細めた。


「皆さんと帰らない理由は、以前申し上げた通りです」

「なのにあーちゃんは。れんれんとは帰るんだあ……」

「嗚呼大変。オウリくんの可愛いウサギのお耳が折れて……」


 どこから持ってきたのか。葵は、オウリの頭にバニーの耳を付けていた。


「私から言っても大丈夫ですか? あおいさん」

「あ、はい。その方が有難いですね」


 みんなはレンの話に、ウサギ耳ではなく聞き耳を立てた。


「4月1日より私、月雪 蓮はあおいさんの付き人をさせていただいているんです」

「いやいやいやー、冗談もほどほどにしてよー……」

「東條さん、冗談では……」

「レン、どうしてそういう経緯になったの?」

「九条。……実は、月雪グループが道明寺との提携をこの4月から結んだんだ」


 レンの言葉に、みんなは顔を険しくする。道明寺との提携を結ぶんだということは、月雪も敵になっている可能性が高いからだ。


「でもさ、どうしてそれでこいつの付き人なの」

「ほんと、たまたまで驚いたんだけど、道明寺と月雪も、桜と百合みたいなことをしているんだ」


 みんなはどういうことだ? と首を傾げる。


「大人たちが仲良くするために、まずは子供同士が互いのことを知ろうと」

「え。……そ、それ、月雪くんも家に使われてるんじゃ……」


 葵と同じように、レンも家に駒のように扱われているのではないかと思った。


「桜庭さん。実は、この提案をしたのは私自身なんです」


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