すべてはあの花のために⑦
四十七章 葵
キャラ! キャラ守って……!?
ゴールデンウィーク明け。
「……。みんな。……いって。らっしゃい……っ」
窓の外を。涙が流れているのも気にしないで。葵はただずっと。昇る朝日を見つめていた。
今日は新歓。出発当日である。今頃駅に向かい、新幹線に乗っているだろう。
「……。なんにも。なくなっちゃった……」
ぐるっと、葵の部屋を見渡す。
そこにあるのは、ベッドと冷蔵庫、必要最低限の衣類に、充電が切れた携帯だけ……。
「ぜんぶ。ぜーんぶ。……なくなっちゃった」
こうなることはわかっていた。だから、こうなる前にみんなの写真は返せた。
「……。あと。きょうを。あわせて三日。か……」
葵は眠気覚ましに浴室へと向かい、冷たいシャワーを浴びることにした。
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