すべてはあの花のために❾
告白
ブレーカーを落としたら、体育館の裏口から外へ出て英語教室へと向かった。
『――状況報告。多分ブレーカーが落ちた。みんな、まわりのみんなを落ち着かせながらステージ裏に集合』
「(おー。アキくん大正解)」
みんなが慌てているけれど、オレは暢気にそんなことを考えてる。
『あとは……日向。葵。二人は大丈夫か』
「うん。異常なし」
順調に体育館を抜け出して、英語教室に向かってまーす。
「(まああのカードを見てくるとしたら、ここぐらいかなってオレが思うだけだけど……)」
来てくれたら嬉しいなって。やっぱりちょっと思った。
それからオレは、キサに連絡を取る。
「あ。キサ? 今大丈夫?」
『え? 大丈夫だけど……』
「そこにキクと理事長いる?」
『ううん。今ステージ裏に向かってるからあたしだけ』
「そっか。ちょっとキサにお願いがあるんだけどさ」
『……まさか停電もあんたのせいとか言わないわよね』
「ご名答。でもこれも仕方ないから。オレはあいつを助けるためなら何でもするからね」
『だからって! こんな大きな会場で』
「うん。反省してる。ごめんごめん」
『……ほ、ほんとかな……』
「それでお願いなんだけど、オレ今、体育館いないんだ。キサといたっていう口実作りたいから、みんなとは合流しないで」
『ちょっ。……あっぶな。あとちょっと遅かったらアウトだったよ!?』
「ごめんごめん」
『どこで待ってたらいいの?』
「どこでもいいよ? キサがいてくれるところに、オレも用事が終わったら行くから」
『わかった。どれくらいかかる?』
「一時間はかけないつもり」
『一時間!?』
「そう。だから待ってる間に言い訳考えててねー」
『ちょ……!?』
「それじゃあ一回切るから。また終わったら連絡するー」
『……!? 日向――』
なんか文句言ってたけど、まあなんとかしてくれるでしょう。
「だってキサは、一番最初に助けてもらって、あいつの事情を何となく知ったんだからね」
そう呟いて、オレは英語教室の扉を開けた――――。
「ふざけんじゃないわよ……!!」
待ってる間に考えろ!? っていってもみんなに言うのはすぐでしょ!?
「ひ、……日向のトイレに付き合ってあげてたとかだったらぶっ殺されるわ」
その頃キサは、ものの数秒で誰かが会場には残ってないと何かあった時に対処できないからという理由で、みんなに話して納得してもらえた。
「ぜ。……絶対に化粧品箱買いさせてやる!」
そんな、キサが必死になっていることを知らないヒナタはというと。
「……あ。別に何にも言ってないのに、いい感じにキサがオレの駒になってる。ラッキー」
暢気に駒が増えたことを喜んでいたりした。