極氷御曹司の燃える愛で氷の女王は熱く溶ける~冷え切った契約結婚だったはずですが~

 宗之さんは一口猪口に口をつけ、目だけでうなずいてくる。
 鷹揚で、余裕があって、理知的。彼は私が当初想定していた以上に、理想の結婚相手なのかもしれなかった。
 その満足感で微かに目を伏せる。

 よかった。

 内心で胸をなでおろす。彼となら、恋愛などしなくていい。
 仲睦まじい夫婦をしなくてもいい。
 触れられたくもないのに、身体を許さなくともいい。

 ちらりと伺い見た宗之さんは、凍てつくほどに冷徹な瞳で、でもとても魅力的な外見をしている。

 もしかしたら、ほとんどの女性はたとえつれない態度をとられても、夫婦となれは特別な感情を抱いてしまうかもしれない。
 
 でも私はそうはならない。
 絶対に、彼に恋などしない。心動かされない。
 なぜなら私は、「氷の女王」。



 最後まで冷え切ってごらんにいれましょう。
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