極氷御曹司の燃える愛で氷の女王は熱く溶ける~冷え切った契約結婚だったはずですが~
一章

【一章】

 いいこと、三花。
 そんなふうに笑うのはおやめなさい。はしたない。
 そんなふうにはしゃぐのはおやめなさい。みっともない。
 すぐに泣くのはおやめなさい。見苦しい。

 感情を表に出すのはおやめなさい。




 あなたは北里本家の娘なのだから。




 死んだ母の言葉を思い出しながら、私はドレッサーの鏡を見つめる。
 真っ黒で長い髪、少し垂れ気味の目、冷たい雪のような色の肌の上で唇だけが赤い。
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