極氷御曹司の燃える愛で氷の女王は熱く溶ける~冷え切った契約結婚だったはずですが~
「ないのか? 最近の人はどこでもなんでも写真に撮っているだろうに」
「いえ、なんだかタイミングが……今度お見せします」
「楽しみにしておくよ。どんな女性なんだい」
師匠に聞かれ、赤ワインで唇を湿らせて口を開く。
「一見、冷たいクールな雰囲気の人です。冷たいといっても、美しい氷のような」
「ほう。あの寒河江宗之から詩的な比喩が飛び出るとはね」
師匠は面白げに目を丸くした。
俺は内心少し照れつつ、続けた。
「ですが本来は優しくて、気を抜いていると年齢よりあどけなさも感じます」
「おやいいね。ギャップってやつか」
「ああ、そうかもしれません」
そう言ってから、ふとあの猫の人形を思い返す。
「ペルシャ猫のような感じです。高貴で上品で、優雅な」
「べた褒めだね。知人がペルシャ猫を飼っているが、飼い主にはずいぶんと甘えん坊のようだよ。奥様もそうなのかな」
俺は一瞬想像する。三花が俺にベタベタに甘えているところを。
「そんなことをされたら、可愛すぎて気を失うかもしれません」
「べたぼれだ!」
師匠が大きく笑う。
俺はその顔を見ながら、師匠がいまなんと言ったのか、脳内で咀嚼した。
べたぼれ。
べた惚れ……?
俺は三花に恋をしているのか?
俺が、恋?
◇◇◇
ホテルで飲んだ赤ワインがうまかったから、同じものを買ってふわふわしたまま帰宅した。
秋の夜は冷えていた。
空に冴え冴えと白い月が浮かんでいた。