ワケアリ無気力くんが甘いです
「……好き、にはなれてないけど。前みたいに、嫌ってわけではないかな」
先崎くんに呼ばれてきた『夜』のおかげで夜子には抵抗薄れた気がするから。
「でも、名前はいいとしても同じく異名をつけられた苗字は変えられないから、こればっかりは私の精神の強さに任せるしかないって感じ」
──『やーい、やーい黒魔女!』
──『あいつ、夜になると黒い羽がはえるらしいぜ』
私はきっと下の名前の流れで苗字もいじられたようなものだから、同じ黒羽さんがいてもこうはいじられないはず、だと思う。
「苗字ねぇ……いいじゃん。黒羽から先崎になれば」
え──?
「え、俺……なんか変なこと言った?」
「変、というか」
その言い方だと……ね?
「だ、だってそれ……」
「ああ、そういうこと。俺は夜が思ってる意味で言ってるよ。だから、俺のこと名前で呼んで慣れてって。ってことで、はい」
はいって、今!?今呼んでみてってこと?
どうぞ?と先崎くんは目でうったえてくるから、
「せ……ゆ、優麗くん」
ものすごい小さな声になったけれど、呼ぶことには成功。
「そうそ、その呼び方になれようね」
うんうん、と頷き私の頭を撫でる先崎くんは優しく微笑んでくれる。