ワケアリ無気力くんが甘いです
「これで夜の顔見れ、る……ってめっちゃ真っ赤」
「今は見ないでおいて下さい……」
「何で?見たい」
顔を両手で覆うと、見せて見せてと先崎くんが剥がそうとする。
見たい、見せて、お願いって、横から何度も言いながら。それでも首を横に振り続ける私に
『……ふうん』と先崎くんは拗ねたような感じになれば、
「ひゃッ……!?」
小さなリップ音とやらが私の鼓膜の奥を震わせた。咄嗟に片耳をおさえると、先崎くんはご満悦。
「夜がこっち見た。もっと赤くなったね」
「せ、せん……先崎くん!?」
「ん?」
ん?じゃないっ!
嬉しそうな先崎くんとえげつない火照り方をしている私。あまりにも違いすぎる!
「夜照れすぎっ。可愛いけど。でももう、こんくらいはしてもいいでしょ?俺はもっとくっついてたい」
笑いながらも、隙間をなくすくらい密着してくる。
あまりの近さに俯けば、
「……少しは、夜自身の名前、好きになれた?」
先崎くんは私の名前のことに触れた。
「どうして?」
ほんの少しだけ顔を上げて先崎くんを見れば『ずっと、気になってた』と言う。
初めてお部屋にお邪魔した時にあだ名のことを話してから、先崎くんは私を夜と呼んでくれるようになったから、かな。