ワケアリ無気力くんが甘いです

「これで夜の顔見れ、る……ってめっちゃ真っ赤」
「今は見ないでおいて下さい……」
「何で?見たい」


顔を両手で覆うと、見せて見せてと先崎くんが剥がそうとする。
見たい、見せて、お願いって、横から何度も言いながら。それでも首を横に振り続ける私に

『……ふうん』と先崎くんは拗ねたような感じになれば、


「ひゃッ……!?」 


小さなリップ音とやらが私の鼓膜の奥を震わせた。咄嗟に片耳をおさえると、先崎くんはご満悦。


「夜がこっち見た。もっと赤くなったね」
「せ、せん……先崎くん!?」
「ん?」


ん?じゃないっ!

嬉しそうな先崎くんとえげつない火照り方をしている私。あまりにも違いすぎる!


「夜照れすぎっ。可愛いけど。でももう、こんくらいはしてもいいでしょ?俺はもっとくっついてたい」


笑いながらも、隙間をなくすくらい密着してくる。
あまりの近さに俯けば、



「……少しは、夜自身の名前、好きになれた?」


先崎くんは私の名前のことに触れた。


「どうして?」

ほんの少しだけ顔を上げて先崎くんを見れば『ずっと、気になってた』と言う。
初めてお部屋にお邪魔した時にあだ名のことを話してから、先崎くんは私を夜と呼んでくれるようになったから、かな。
< 147 / 153 >

この作品をシェア

pagetop