ワケアリ無気力くんが甘いです
そんな先崎くんに苦笑いをするも、座り直した先崎くんはまたも私を横抱きにする。それが当たり前みたいに、自然と……。
少し離れたから落ち着てきていたのに、またも心臓が加速してきちゃう。
顔の近さも体温も感じ、反射的に顔を覆えば、
「毎度兄貴のこりないな……って、何で隠すの」
先崎くんの拗ねた声が聞こえる。
指の隙間から覗けば、口を尖らせていた。
「やっぱりまだこの距離は私には早すぎるといいますか……」
「慣れるってそのうち」
「そういうものかなぁ……」
「だと思う……ってか目は瞑っててもいいけど、顔は隠さないで欲しいんだよね。できないから」
できない?
「何を?」
「それ聞く……?まぁいいけどさ。キスだよキス」
キ──!?
あまりにも普通に『キス』と言われ、驚いた弾みで顔を隠していた手が緩んだ。
その手が取られ、視界が開けた時にはもう……先崎くんのすごく綺麗な顔がいっぱいに広がっていて──キス、されていた。
「っ……」
頭の中、熱いとか緊張とかそんな域を通り越して、真っ白になる。
息さえも忘れ、先崎くんが離れれば、すぐに笑われた。
「……夜っ、ガッチガチ」
この笑顔にも弱く、足先から熱が上がってくるのを感じ、顔を隠したいのに腕が掴まれてるから出来ない。