ワケアリ無気力くんが甘いです
「……好きすぎる」
え?
「前に、夜があだ名とかの影響で根暗になった、みたいなこと言ってたけど、俺はそんなこと思ってないよ。笑ったり照れたり、俺の前でいろんな顔見せてくれるし」
顔を上げてゆっくりと私の頭を撫でながら、先崎くんは続ける。
「だから、過去のこと忘れさせるくらい夜のことを呼ぶ。んで、ずっと俺のそばにいて。離れないで俺のことも呼んで──夜」
……私はずっと、自分の根っこの部分は暗いものだと思っていた。とびきり暗い、と言うわけではないけど、明るい性格と比べたら大人しいとかよりも暗い方だと。
でも、先崎くんに会って、かんちゃんや藤田くんとも沢山話すようになったから、私が気づかなかっただけで、根っこの暗さは薄れていたのかもしれない。
それに……忘れさせてくれないというばかりに度々訪れていたあの夢は、2年生になりたてのあの朝以来見ていない。
自分がそう思いたいだけかもしれないけど、その理由はきっと先崎くんが私に新しいあだ名『夜』をくれて、呼んでくれていたから……
自然と名前への嫌悪感みたいなものが払拭出来ていたんじゃないかな。……先崎くんに呼ばれて、自分の名前が少しずつ特別なものに聞こえていたんだろうなって。
その先崎くんに、ずっと俺のそばで……なんて言われるのは……嬉しすぎるっ。