ワケアリ無気力くんが甘いです
予想外な返事に私は目を丸くした。
「私、運ぼうか?保健室まで」
「……いや、保健室じゃ治らない」
え、どういうこと?
思わず、近くまで歩み寄って再び声をかける。
「ちなみにどこらへんが?」
「身も心もボロボロ。重傷……」
ドヨン、と負のオーラが先崎くんを包んだように見える。
「えっ……何故に?」
思った答えではなかった私の表情は心配もあるが、恐らくひきつっている。
「クラス表を見るのに人ごみにのまれるわ、新しい環境におかれるわ……同じクラスやったーとか、教室が明るすぎて落ち着かない……」
ど、どうしよう。
「ていうか友達づくりとか無理。萎える」
膝を抱える先崎くん。
……これは、き、共感しかないっ。
「あ……胸焼けしてきた」
胸ではなくなぜか心臓を両手でおさえる先崎くん。……同士かもしれない。
私はそんな先崎くんを見つめながら胸を撫でた。