ワケアリ無気力くんが甘いです


「……俺も、黒羽さんになら言ってもいいって思った。……やっぱり正解だったみたい」


すごく優しい口調で話す先崎くんの声。
だけど私は顔を手で覆っている。


「あれ……黒羽さん?」


そんな私の手が、つんつん、とつつかれる。


「お顔一瞬見ましたありがとう」


早口になぜかお礼を口にした私の口。
……でも本当は、指の間からちょっと覗いてます。──まるっと素顔を見るのははじめてだから。


「ねぇ、黒羽さん」

「は、はい……」

「今度……俺ん家遊びに来ない?」

「へ」


顔を覆っていた手が力が抜けたように膝に落ちていく。

え?家?先崎くんの?……私が?


「え、っと……」
「ちょっとした店やってるんだけど、良かったら来ないかなって」
「お、お店?……先崎くんのご両親がやってるの?」


問えば、先崎くんはぎこちなく目を反らし……


「い、一応……兄貴」
「一応?」
「……う、ん」


なぜか間のあいた返事。
仕方なく頷いたように見えるけど……


これは──なにかワケアリ?
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