日本史男子は譲らない
「ここだよね」
ドカッと段ボール箱を机の上に置く。
あんなに重かったのに、江戸くんは文句ひとつ言わずに運んでくれた。
「あの、しんどくなかった?」
「別に・・・特に重いと思わなかったけど」
「す、凄いね・・・」
「そう?」
不思議そうに私を見る江戸くん。
「あ!そうだ、これ・・・」
抱えていた布団を江戸くんに差し出す。あれ?でも落ちてたから洗って返した方が良いのかな?
それに、家では布団を被ってないのに何で学校では被っているんだろう?
「どうも・・・」
あれ?今日は優しい?
(そういえば、江戸くんは私のこと嫌いなはずなのに、何で手伝ってくれたんだろう?)
私は江戸くんに気付かれないように、こっそりと綺麗な横顔を眺めた。
本当に不思議。
「あ、あのさ・・・」
江戸くんが何かを言いかけたその刹那。
「おーい、廊下を走るなよー」
「神聖な学び舎ってことを忘れないで下さいね?」
という聞き覚えのある声が廊下から聞こえた。
「・・・」
「・・・」
お互い、顔を合わせた。聞き間違いだと良いんだけど・・・
そんな虚しい私の願いは、その人達の姿を見た瞬間に消え失せた。
緩いパーマをあてた栗色の髪の毛の男性に薄い紫色の髪に眼鏡をかけた男性、奈良さんと明治さんだった。
「で、何で二人がここにいる訳?」
江戸くんは腕を組みながら二人を凝視する。
「学制が出来たのは私の時からなので、少し興味がありましてね」
「お兄さんはー、家でゴロゴロしてたら鎌倉に「働け!!」って追い出された」
(何だろう、、、ものすごくその光景が目に浮かぶ、、、)
「その服装、、、もしかして教師として在籍するの?」
「そうですよ」
「明治は歴史で、俺は国語だよ」
「平安さんの方が国語に向いてそうなんだけど」
「あの人は古文な」
「平安さんの前の時代である貴方がそれを言えますか?」
「大丈夫、お兄さんは現代国語だから」
奈良さんは手持ちの教科書をパラパラ捲り、「あー、古文はほとんど平安が多いな~」と小さく呟く。
「明治くんは、、、俺に恨みたっぷりの授業しそう」
江戸くんがそう言うと、明治さんは「確かにあの時は恨みましたが、もう解決したことです」と言った。
その表情は、どこか悲しそうに見えて、、、。
ーーーキーンコーンカーンコーン。
次の瞬間、昼休みを告げるチャイムが鳴って、会話は終了。
「じゃ、教室戻るから」
江戸くんは布団を被り、スタスタと行ってしまうのかと思ったら、何故か止まっている。
「ほら、早く行かないと遅れるよ」
私の手を掴み、引きずるようにして歩き出した。
「え、何で布団被ってるの?」
「私に聞かれても知りませんよ」
ズルズルと、二人の姿が小さくなっていくのを見ながら、廊下を引きずられて教室に行く。
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