推しが近所に住むなんて聞いてません!
翌日酷い顔で会社へ向かった。昨日泣きすぎたせいか、瞼は腫れ、顔は浮腫んでいる。
大丈夫!?と会社のみんなから心配されたが、映画で泣きすぎちゃって…と答えた。

そんな様子で、過ごしていると、有元さんに「今日お昼一緒に食べない?」と誘われた。

お昼、「で?どうしたのなんかあったんでしょ。」と有元さんに聞かれる。

「やっぱお見通しですか。」
有元さんにも映画で…と伝えていたのだが、さすがだなと思った。また一つ有元さんが人気の理由がわかったような気がした。

「実は失恋しまして…」

と告げると

「え!?桜田さん好きな人いたんだ…」
と驚く有元さん。

「あ、はい。いやまあ失恋というか。その人他に好きな人がいるのに寂しさの穴埋め?みたいな感じで」
そう伝えるものの、有元さんはあんまり聞いていないようだった。「好きな人がいた」ということに驚いている様子だ。

「…あの有元さん?」
そう言って放心状態の有元さんを現実に引き戻す。

「…ああごめん!あ、でもということは今はフリーなんだ。」

「はい。残念ながら」
と微笑み返す。

「…じゃあさ俺と付き合ってみない?」
ん?今付き合ってって言った?
え、あの社内ダントツ人気の有元さんが私と…?

「え、いやあのにわかには信じ難いんですけど..あのー今付き合ってとおっしゃいました?」
一応聞き間違いでないか確認してしまう。
有元さんは少し必死な様子で
「失恋に漬け込むようで本当に申し訳ないと思ってる。で、でもと、友達からとかでもいいから視野に入れてくれたら嬉しいと思ってる。返事、急がないから!」

そう言って残りのご飯を書き込むと、「ごちそうさま!じゃあまた後で!」そう言って有元さんは行ってしまった。

う、嘘...有元さんが私を…?しばらくご飯は手につきそうもなかった。
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