結婚なんて、ゼッタイお断り!
「……くそっ」
どうして、こんなにも小さくてか弱い女の子が、危険な目にばかり遭わなくちゃいけないんだ。
もう二度と、君に傷ついてほしくない。
泣いてほしくない。
大地さんは、美桜ちゃんのことを『大安寺の名を継ぐ者に、普通の平和は訪れない』と言っていたけれど。
それでも俺は、君をできるだけ君が望むままの道を歩ませてあげたいと思った。
「もう二度と、君から目を離さない……っ」
「もう二度と、君を傷つけさせないからっ」
俺の腕の中で眠る美桜ちゃんに、俺は静かにそう誓ったんだ──。
・・・
そんな君が、今、俺の目の前で全力で楽しそうに笑ってくれている。
遊園地にテンションを上げて、写真を撮りまくっている君が、俺の名前を呼んでくれている。
俺はね、正直ここが遊園地だろうと、水族館だろうと、たとえ何もない小さな寂れた公園だとしても、同じくらい嬉しいんだよ。
こうして君と一緒にいられるだけで、自分でも驚くくらいの喜びを感じている。
美桜ちゃんが俺に笑いかけてくれるたびに、これ以上ないくらいの幸福感で満たされる。
ありがとう、俺にこんな感情を教えてくれて。
君といると、俺はこれから先もまだまだいろんな感情を知っていけるんだろう。