結婚なんて、ゼッタイお断り!

*わがままでいいって言ったのは、君だから*






***



「──満喫したー!」

土曜日の、人で溢れかえっている遊園地を一日かけて遊び尽くした。

伊織と二人でいろんなアトラクションに乗って、パレードを見て、お揃いのグッズを買って、美味しいご飯やスイーツを山盛り食べた。




「(伊織のいろんな表情も見れたしね!)」

ジェットコースターのスピードに怖がる顔、お化け屋敷の幽霊に驚く顔。

辛いラーメンを食べたときに見せた表情、そして、いつもの優しい伊織の笑顔もたくさん見られた。






「今日、ここにこられてよかった!」

だって、伊織の初めての表情をたくさん見ることができたから。




「また今度、次は大和と陽太も連れて四人で来よう……って、わぁ!」

はしゃぎすぎたせいか、足が絡まって転びそうになる。

嘘、最悪!このアスファルト、絶対に転んだら痛いやつ!



キュッと目を瞑って痛みに備えていたとき、トンと優しく触れる肩。

「……危ないよ、美桜ちゃん。靴紐がほどけてる」



危うく転びそうになったところを助けてくれたのは、やっぱり伊織だった。

そして、ゆっくりとしゃがんで、私のスニーカーの紐を結び直してくれる。





「ねぇ伊織、今日楽しかった?」

「うん、楽しかったよ」

「本当に!?私に付き合わされただけじゃなかった?」

「……ううん。自分でもびっくりするくらい、本当に楽しかった」






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