結婚なんて、ゼッタイお断り!





稲瀬が伊織を煽るようにそう言った瞬間。

三人の中で一番おとなしそうな伊織が、だんだんと怒りに満ちていくのが分かった。




「美桜ちゃんと玲央が……結婚?させるわけないでしょ、そんなこと」

「それはどうかな?」

「俺が、させない」


伊織はグッと拳を握って、怒りを抑えている。




「つーか、バカかテメェは。なんで大安寺組のお嬢と、敵組織のお前が結婚できるんだ。少しは考えて発言しろよ」

「──断言してやる。大安寺 美桜は、必ず稲瀬組の俺の元へ来るよ」


横から割って入ってきた大和に、稲瀬は真剣な表情でそう言いきった。





「アンタのところへなんて、行くわけないでしょ!」

「……へぇ。じゃあまぁ、せいぜいそうならないように頑張りなよ」




余裕な笑みを浮かべて、稲瀬はそんな言葉を置いて去っていく。

この場に残った三人は、ジッと私のほうを見ていた。





「君が、大安寺美桜ちゃん……だね。俺らがいきなり現れて驚いたよね。ごめんね」

「いやいや、そもそもこのチビが勝手に家を飛び出したんだろ?自業自得だな」

「こらー、大和!僕の美桜ちゃんにチビなんて言わないで!」

「だ、誰なのよアンタ達……」





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