結婚なんて、ゼッタイお断り!





みんながザワザワとする中で、私はまた一人だった。

話しかけてくれる人も、目を合わせようとする人もいない。






「(やっぱりここでも一緒……か)」


ウワサはいろんなところから広まっていく。

きっと小学生のときの私のウワサを知っている人がいる。

そして、この〝大安寺〟という名前を見て、関わらないように距離を取られているのだと思う。






「じゃあ次、大安寺さん。自己紹介をお願いします」


遠藤先生が私の名前を呼んだ瞬間、それまで騒がしかった教室の中が一気に静まり返った。

チラチラと恐ろしそうに私を見る人、私のことを絶対に見ようとしない人。

ヒソヒソと何かを言い合う人もいる。






「大安寺、美桜……です」

席を立って、小さな声で名前だけを言ってすぐに顔を伏せた。




こんなの、今にはじまったことじゃないのに。

小学生のときからずっとこんな感じだったじゃない。

もう慣れたと思っていたけど、私の弱い心はまたチクチクと痛みだす。




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