結婚なんて、ゼッタイお断り!
*君の本当の気持ちを聞かせてよ*
***
大和と丘の上の隠れスポットから帰宅するころには、もうすっかり空は暗くなっていた。
こんなに遅い時間まで外にいたのは、久しぶりだった。
いつも学校が終わるとすぐに家に帰っていたから、なんだか少しだけ新鮮だ。
「ただいまぁ」
家の玄関を開けると、家の中から一番に飛び出てきたのは伊織だった。
「伊織?」
「美桜ちゃん、今何時だと思って……って、大和?」
「俺が一緒だったんだから問題ねぇよ」
心配そうに私を見る伊織に、大和は淡々とそう言って二階へ上がっていく。
玄関に残った伊織は、眉を下げて私を見つめた。
「美桜ちゃん、今までどこに……」
「あー、えっと。ちょっと大和と散歩!」
「……散歩?」
「今日は陽太の看病で一日外に出てなかったから、リフレッシュしようかなって思ってね!」