歪んだ月が愛しくて1



まさかの言葉に驚きを隠せない。
だって九澄先輩が俺に…、有り得ない。
するとそれに便乗した未空と陽嗣先輩が「俺も俺も」と横から割り込んで来た。



「九ちゃんだけずるーい」

「独り占めすんなって言ったのはオメーだろうが」

「やめて下さいよ人聞きの悪い。僕は独り占めしてるつもりなんてありませんよ。あくまで率先してお願いしてるだけです」

「抜け駆け禁止!」

「列を乱すなよな」

「それは失礼しました」



九澄先輩の言葉が頭の中で何度も何度も反響する。
「そんなものいらない」と、はっきりと否定出来ない自分に嫌気が差す。
だから「そんな資格ない」と言い訳をして逃げ道を作る。
そうでもしないとあざとい自分が顔を出してしまう。



『なーに変な顔してんのさ?俺達もう仲間っしょ!』



『…ごめん、シロ……』



もうあんな思いは懲り懲りなのに…、



「リカ」



その声にハッと我に返る。
未空は俺の顔を覗き込むと不安げに眉を顰めた。



「な、に…」

「何が不安?」

「、」



思わず息を飲んだ。



見透かされたかと思った。
心の奥底に仕舞ったものを。きつくきつく蓋をしたものを。



「俺達には言えない?」

「そ、なこと…」



不安なんてない。
そう言えばいいだけなのに上手く言葉が出て来ない。
予想外の言葉に言い訳すらぶっ飛んだ。ポンコツかよ。



その間も九澄先輩は手を引っ込めない。



「そんなことない?本当に?」

「、」



選択肢なんて与えないで。

逃げ道を塞がないで。



俺には友達《そんなもの》を作る資格なんてないのだから。


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