歪んだ月が愛しくて1
「まあ、バレたらその時考えるよ」
正直どうでも良かった。
文月さんに何言われたってどうでもいいし、反対したかったら勝手にすればいい。一々気にしてたらキリがない。
「それに必要以上に関わる気ないから、覇王と」
友達の定義が適当でいいなら関係性だって適当でいいはずだ。
だったら彼等と深く関わるつもりはない。
自分で自分の首を絞めることになるのは目に見えている。
それに彼等は危険だ。
具体的には説明出来ないが俺のセンサーが反応している。彼等に対して警戒心を緩めるなと訴えていた。
(言い訳にしかならないが…)
まだ、何も考えたくない。
何も見たくない。
何も気付きたくないんだ。
「……どうせ、すぐ飽きるよ」
人の噂が75日で終わるように“異例の転入生”だってすぐに飽きて捨てられる。
「お前はそればっかだな」
聞き飽きたとばかりに深い溜息を吐く紀田先生は本日何本目かの煙草に火を点けてフェンスに凭れた。
「そんな簡単なもんじゃねぇよ。文月と哀さんが良い例だろう?」
「あの2人は…」
文月さんと哀さんに関しては少し違う。
『―――助けてよ!』
ギュッと、固く目を瞑る。
余計なことを思い出してしまった。
……忘れよう。
今はそんなことはどうでもいい。
「俺だってお前のことは結構気に入ってんだぜ。そう簡単に飽きるかよ、こんな面白ぇ奴」
「……俺って面白い?」
「ああ。お前みてぇな面白い奴そうそういねぇよ」
「褒められてる気がしないんだけど」
「別に褒めてねぇよ。本当のことを言っただけ」
「………」
俺のどこが面白いのだろうか。
俺としては寧ろつまらない人間だと思っていたのだが捉え方は人それぞれだと言うことか。
「まあ、結論から言うと勝手に過小評価すんなってことだ」
そう言って紀田先生は俺の頭に手を置いた。
正当な評価だと思う俺としては何だか丸め込まれた気がして釈然としなかった。