歪んだ月が愛しくて1
「おいおい、王様捜すのにいつまで掛かってんだよ?」
その声と同時に錆付いた音が悲鳴を上げる。
またもや屋上に現れたのは生徒会メンバーの陽嗣先輩だった。
「よお、りっちゃん今朝ぶり」
「……どうも」
また煩いのが来た。
「何でお前まで来んだよ?」
「猿がいつまで経ってもお前を連れて来ねぇから。つまりお前のせいね」
「チッ」
「はい、舌打ちしねぇの。またりっちゃんに怖がられるぜ」
だから怖がってねぇよ。
「ほら戻るぞ。早くしねぇと大魔王様が降臨しちまうぜ」
「そ、それはヤバい!みーこ早く!」
「それで呼ぶんじゃねぇ」
3人から目を逸らす。
早くどこかに行って欲しい。
俺の視界に入らないところならどこでもいい。
そうすればきっとこんな想いはしなくて済むのだから。
「お、そうだ。りっちゃんも来いよ。美味いもんあるぜ」
「は?」
突然話を振られて思わず素の声が出た。
「あ、ヨージ抜け駆けすんなよな!俺が誘おうと思ったのに!」
「してねぇよ。お前がトロいのを俺のせいにすんじゃねぇよ」
「トロくねぇよ!物事には順序ってのがあるんだよ!」
「へいへい。じゃあ順序守ってりっちゃんをエスコートしてやれよ」
「言われなくてもそうするし!」
口を窄めて拗ねる、未空。
しかし次の瞬間、未空はくるっと反転して俺に手を伸ばした。
「じゃあ行こう、リカ!」
それも満面の笑みで。
「行くってどこに…」
「生徒会室」
やっぱり。