歪んだ月が愛しくて1



「立夏くんもケーキがお好きなんですか?」

「……普通、です」



好きでも嫌いでもない。
でもクリーム系よりフルーツ系の方が好きだ。



「良かったら今度一緒に作ってみませんか?作り方を教えますよ」



その言葉に俺は目を見開いて食い付いた。



「本当ですか?」

「はい。僕で良ければ喜んで」

「あ、ありがと…っ、ございます…」



よし、これでレパートリーが増える。
そう思って内心ガッツポーズをすると不意に四方からの視線を感じた。



「……何?」



不快なそれに俺は未空と陽嗣先輩の腕から逃れて問い掛ける。



「リカって…」

「だから何?」

「やっぱり可愛いよね!」

「………は?」



何を言い出すかと思ったらくだらない。
思わず身構えた自分がムカつく。



「ふーん、そう言う顔も出来るんだ。年相応でかあいいじゃん、眼鏡は邪魔だけど」

「新たな一面って感じですね」



どう言う一面だよ。



「………」

「……何ですか?」



次は会長だった。
でも会長は俺の疑問に答えることなくただジッと俺から視線を逸らさない。



「意味分かんねぇ…」



どいつもコイツも訳が分からん。
会長から視線を逸らして内心悪態を吐く。



「いいな〜九ちゃん、リカにお礼言われて」

「でしたら未空も何か立夏くんに教えてあげたらいいんじゃないですか?」

「あ、そっ…「結構です」

「即答!?」


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