歪んだ月が愛しくて1



「俺達は一緒にいるべきだよ、絶対」



俺の中の未空のイメージは底抜けに明るくてお調子者で、皆のムードメーカー的存在で。



「なん、で…」



こんな風に切なげな声を出すような人じゃないと思っていた。



「上手く言えないけど、その方が絶対楽しいもん。皆一緒にいれば寂しい想いなんて絶対しないよ」

「寂しい…?」



その言葉に無意識に自分の顔に触れる。

未空の目には俺が寂しそうに映っていると言うのか。



「っ、お、れ…」



そんなはずない。

だって俺は自分から独りになることを望んだ。

大切なものを自ら手放してまで選んだ道だったのに…、それなのにどうして今更自覚してしまったんだろう…。



ああ、だから嫌だったんだ。

彼等と関われば俺はまた光を望んでしまうと分かっていたから。



「寂しくなんて…っ」



焼き尽くすべきだった。

都合のいい幻に手を伸ばす前に。

二度と幸せな夢を見る前に。



「リカ、仲間になろう」

「、」



そう言って未空は俺に向かって手を伸ばした。

でも俺はその手に縋ることが出来なかった。



「リカ」



……ダメだ。

俺はそっちには行けない。行っちゃいけないんだ。



「……む、り」



友達も、仲間も、いらないと思っていた。
こんな想いをするくらいなら初めから独りでいた方が良かったんだ。
でも俺は出会ってしまった。
こんな俺なんかを“仲間”と呼んでくれた彼等と。
もう二度と会うことは許されないが、それでも俺は忘れない。
彼等と過ごした思い出はいつまでも俺の中に鮮明に刻まれている。



『―――なーに変な顔してんのさ?』



未空はアイツに似ている。
他人との距離感が可笑しくて所構わず引っ付いて来るところとか、強引で聞き分けのないところとか。
だから突き放せなかった。いや、自分では突き放したつもりでもどこか甘えがあったのかもしれない。
期待とも言える、それが…。



『シロ!』



バカバカしい。

勘違いするな。

間違った決断は身を滅ぼすだけだ。



それは俺のためであってきっと彼等のためでもあるのだから。


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