歪んだ月が愛しくて1
Bloody Butterfly
立夏Side
「どう?生徒会に入った感想は?」
「……別に、特にないけど」
「ないの!?」
「うん」
あの後、俺と未空は自室に戻るために他の3人を残して生徒会室を後にした。
まあ、未空はただ俺に付いて来ただけだけど。
「じゃあ皆のことは?性格にはちょっと難あるけど悪い奴等じゃなかったでしょう?」
あれがちょっと?目腐ってんじゃないの?
返答に困ることを聞かないで欲しい。
そもそもまだ数回しか会ってないのに良いも悪いも判断出来るわけがない。
強いて言うなら…、
「……変人」
「変人?」
未空は俺の言葉をリピートして頭上にクエッションマークを浮かべた。
「紀田先生が言ってた生徒会のイメージと実物はちょっと違ってたから良い意味で拍子抜けしたかな」
「紀田ちゃんが?何て?」
「危なくて性格が悪いって」
「あははっ!何それ!紀田ちゃんウケるー!」
そう言って腹を抱えて大声で笑う、未空。
「それで実際は?」
ヒィヒィ言って笑いを耐えながら未空はそれでも追求する。
次第に口元を歪めてどこか人を試すかのような悪戯な笑みを浮かべていた。
「言ったじゃん拍子抜けしたって。陽嗣先輩は軽そうに見えて意外に周りが見えてそうな感じだし、九澄先輩は優しくて穏やかな人って印象を受けたよ。俺が緊張してるのに気付いて気を遣ってくれたし」
「九ちゃんは皆に優しいからね。ヨージも何だかんだ言って世話焼きだし」
「………」
ただあの人の目は…。
いや、未空に言うことじゃないな。
「尊は?」
そんなの、決まってる。
「……ムカつく」
「えっ!?」
「初対面のくせに自分から名乗らないし、態度がでかくて無愛想だし、無駄に顔が良いから余計ムカつく」
「ご尤も」
良い印象なんてあるわけがない。
未だに本人からフルネームすら聞いてないのに。
それに加えてあの態度、最悪としか言いようがない。
でも…、
『……面白い』
笑ってた。
あの顔が頭に焼き付いて離れない。
『精々足掻いてみせろ』
あの顔が、あの声が、まるで何かを焚き付けるかのように俺を生徒会と言う鎖に縛り付けたのは間違いない。
「変な人…」
良い意味でも、悪い意味でも。
あんな人は初めてだ。
「変人ね…。まあ、間違ってはないけど」
「あ、でも変人だと悪口になるから……可笑しな人?」
……あれ、それも悪口か。
「ぷっ、それ意味一緒じゃん!」
「やっぱり?」