歪んだ月が愛しくて1
未空の手に自分の手を重ねる。
すると未空の大きな瞳が俺を映しながら戸惑っていた。
オロオロしちゃって可愛いな。
「大体俺だって転入して来たばっかで昔何やってたか分かんないじゃん。もしかしたら未空が思っている以上に超危険人物かもよ?」
見当違いな回答だってことは分かっている。
……でもごめん。
今だけは誤魔化されてくれ。
「リカが?」
「そう。だから俺を生徒会に誘ったことをいつか後悔するかもしれないよ」
「………」
戸惑いの表情が真剣な顔付きへと変わる。
今になって俺と言う人間を見定めているのかもしれない。
「綺麗な人間なんていないんだよ…」
『綺麗な生き方なんて無理でしょう。皆生きてくために必死で足掻いてんだからさ』
『でも、貴方は綺麗…、です』
綺麗とか綺麗じゃないとか、そんなことどうでもいい。
誰だって道に迷うし、間違った生き方をすることもある。
(自分がそうだったように…)
でも彼等はこんな俺を受け入れてくれた。
真っ赤に染まったこの両手を、冷たい亡骸の上に佇む俺にそっと手を差し伸べてくれた。
何が正しくて何が間違ってるのかなんて誰にも分からない。
俺にも分からなかった。
受け入れてくれた温もりに縋るか、拒絶するべきか。
でも結局は彼等の優しさに縋って甘えてしまった。
そのせいで彼等は…。
「だから後悔しても、遠回りをしても、最終的に胸張って生きていければそれでいいんじゃない?少なくとも今の俺はそうやって生きてるつもり」
「………」
(……ごめん)
こんな偉そうなこと言って置いて今の俺には胸を張って生きていくことは出来そうにない。
後悔して気付けたからこそ俺には生きる価値なんてないことに気付いてしまったから。
「―――俺も、しないよ」
未空の言葉が俺を現実に引き戻す。
「後悔。俺も自分の目で見たものしか信じない。自分の目で見てリカならこんな俺達を受け入れてくれるんじゃないかと思って…。だから生徒会に誘ったんだ」
「……うん」
「引かないで…くれるん、だよね?」
まるで子犬だな。
捨てられまいと不安そうな顔して。
「安心しなよ。もし未空が何かやらかしようになったらその時は俺がぶん殴ってでも止めてやるからさ」
「っ!?」
何に怯えてるのか分かんないが未空の身体は微かに震えていた。
そんな未空を安心させるために笑って見せると、未空は驚いたのか目を丸くさせて頬を赤く染めた。
すると次の瞬間、俺の身体を未空の両手がギュッと包み込む。
「リカ!その顔はダメ!」
「……は?」
「ヤバいよ!ダメだってそう言う顔は!俺のリカが狙われちゃう!」
「はい?」
……え、何突然?
頭でも打った?
「……あれ、もしかして気付いてない?」
「何が?」
「………マジで?」
「だから何がだよ」