歪んだ月が愛しくて1
「俺もお前に話して置きたいことがある」
その言葉に少しだけ身構えた。
「……何?」
「お前、アゲハさんだけがああだと思うなよ」
「ああって…、変態?」
「いや、変態は変態なんだが…」
あ、認めるんだ。
「変態総長の下に付くのも大変だな。あ、元だっけ?それにしてもあの金髪…、アゲハってハーフかなんかなの?」
「………」
「何?俺変なこと言った?」
「いや、勘違いしてるようだから訂正するが、アゲハさんは元じゃないぞ」
「え?」
元じゃない?
つまりそれって…。
「あの人は今でも俺達“B2”の総長だ。未だに地獄蝶のアゲハの異名を保ってるよ」
「……マジ?」
「マジ」
「え、でも、さっきアゲハが…」
「アゲハさんが何を言ったのかは知らないが、お前が“B2”を潰した後だから……半年くらいか?チームは一時的に解散。一度は足を洗って全うな道に戻ろうとしたが、ある人が腐りかけていた当時の“B2”を立て直そうと奮闘してやっと今本来の“B2”の姿を取り戻すことが出来たんだ」
「ある人?」
「それは追々説明する」
追々っていつだよ。
まあ、余所様のチームのことなんてどうでもいいが。
「でもお前には本当に感謝してるんだ。あの時の“B2”をぶっ壊してくれたお陰で今があるんだからな」
「………」
そんなこと簡単に言わないでくれ。
礼を言われることなんて何一つしていない。寧ろその逆だ。
(意味分かんねぇ…)
頼稀が何を言っているのか俺には全く理解出来なかった。
だからと言って深く突っ込むのも野暮だと思いそれ以上の追及を止めた。
「それとアゲハさんはハーフじゃなくてクウォーターだぞ。あの髪は隔世遺伝だ」
「か、隔世遺伝…?」
「それともう一つ、アゲハさんが変態なのは半分はお前のせいだからな」
「人のせいにすんなよ」
………ん?
半分?
「お前は自分の容姿がどれだけ周りを惹き付けてるか気付いてないだろう?」
「惹き付けてるって俺は蛾か?」
「蛾は周りの連中だ。考えてもみろ。転入早々トイレで絡まれたのは何でだと思う?」
「それは…」
『もうちょっと俺達と遊ぼうぜ』
「遊び?」
「は?」
いや、そんなマジな顔しなくても。