歪んだ月が愛しくて1
「そもそも何で生徒会に入ったんだよ?あんなに拒否ってたくせに」
「それは…」
頼稀が疑問に思うのも無理はない。
ここのところ毎日のように未空から逃げてたのは俺だし態と無愛想に接していた自覚もある。
それも全て未空に諦めてもらうためにやっていたことだが。
初めは彼等に関わるつもりはなかった。
生徒会も適当な理由を作って入るつもりなんてなかったのに。
『上手く言えないけど、その方が絶対楽しいもん。皆一緒にいれば寂しい想いなんて絶対しないよ』
「……俺、寂しかったみたい」
「寂しい?」
未空に言われて気付いた。
心の奥底に鍵を掛けて閉まっていた感情はどうやら隠し切れてないらしい。
あーあ、気付かないふりをしていればいいものを。
目を瞑ってさえいれば平穏な生活を送れたかもしれないのにまんまと自分から踏み込んで来るなんてバカな連中だ。
(人のこと言えないけど…)
境界線なんてあったものじゃない。
「バカみたい…」
くだらない挑発に乗った結果がこれだ。
浅はかな感情に委ねて行動した報いを受けよう。
「……正直、俺は未空と違って生徒会を推奨出来ない」
「……うん」
「でもどんな経緯があれ入ったからには最後までやり遂げるつもりなんだろう?」
「うん」
やると決めたからには最後までやる。
売られた喧嘩をスルーして逃げるなんて俺には出来ない。
「お前のその性格が仇とならなきゃいいが…」
「仇?」
「いや、こっちの話だ。兎に角覇王と関わってお前が得することは何もない。生徒会に入ったならある程度距離は近くなるが絶対に奴等と深く関わるなよ」
「………」
「それがお前のためだ」
「……うん」
深く関わればどうなるかは実証済みだ。
だからこそ最後の一線は越えさせない。いや、越えちゃいけない。
守るべきボーダーラインがすぐそこまで迫っていることに、この時の俺は気付いていなかった。