歪んだ月が愛しくて1



「覇王親衛隊は親衛隊の中でも過激派で有名だ。自分が慕ってる奴に近付く悪い虫は犯罪スレスレのことをやってでも追っ払う質の悪い連中なんだよ」

「犯罪スレスレ?」

「相手を屈辱して二度と表に出れないようにすること。簡単に言えば集団強姦だ。複数で輪姦してそれを撮影して脅迫。後は幼稚に靴の中に画鋲とか手紙とか」



どこが犯罪スレスレだよ。

完璧犯罪行為じゃねぇか。



「サイッテー」

「だから心配してんだよ」



ほらまた。



「覇王親衛隊が厄介なのはそれだけが理由じゃない。奴等は非公認の親衛隊なんだ」

「非公認?」

「通常親衛隊を結成するにはその人物の承認が必要となる。でも覇王はそれを認めなかった。だから覇王親衛隊は覇王の承認を得ることが出来なかった非公認の親衛隊として活動しているんだ」

「つまり勝手に作っちゃったわけね」

「そうだ」

「覇王親衛隊が非公認ってのは分かったけど非公認だと何が厄介なの?」

「非公認ってのは義務と規制がないってことだ」

「……ごめん、分かんない」

「親衛隊を承認すると月に1回の集会が義務付けられる」

「うわっ、めんど」

「面倒臭くてもそれが親衛隊を承諾した義務だ。勿論利点もある。集会に参加する代わりに親衛隊隊長の任命権と規則を作る権利が得られるんだ」

「……で?」

「規則ってのはそれなりに便利なんだよ。例えばアゲハさんみたいに自分の周囲の人間には危害を加えるなとか。俺で言えばC組の奴等に近付くなとか撮影禁止とか」

「ふーん……って、頼稀も親衛隊持ち?」

「不本意だがな」

「え、頼稀って寮長?それとも…」

「外れ。俺はランキング上位者の方」

「ランキング?」

「ランキングは大きく分けてKING部門とQUEEN部門の二つがある。簡単に言えばKINGは抱かれたいランキングで、QUEENは抱きたいランキング」

「……は?」



開いた口が塞がらないとはこのことか。
あまりの衝撃的な事実に思わず言葉を失った。



「ここって男子校…」

「男子校だからだろうな」



男から抱かれたいとか、抱きたいと思われるなんて。



「不憫だね〜」

「他人事かよ」

「だって俺関係ねぇし」

「今はな。遅かれ早かれお前は嫌でも関係するさ」

「一生関係ないと思うけど」

「……まあ、今は分かんなくてもいい」



一生分かりたくねぇよ。



「ランキングの順位は毎年11月の聖楓祭に合わせて行われる。一部門一票の投票によって上位10人が選ばれその10人がランキング上位者って呼ばれるんだ」

「頼稀は?」

「KING部門の9位」

「凄いじゃん。俺だったら嬉しくねぇけど」

「本当に他人事だな」


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