歪んだ月が愛しくて1
立夏Side
「……ん…」
ゆっくりと意識が浮上する。
ぼやけた視界に映るのは見慣れない天井とシンプルな内装の部屋。
「……ど、こ?」
ドンドンドンドンドン…
「リーカー!」
誰かが俺を呼んでいる。
あれ、誰だっけ…。
『シロ!』
『シロ、さん…』
……違う。
あの声じゃない。
彼等は俺を“リカ”とは呼ばない。
俺をその名前で呼ぶのは…。
「リカー、まだ中にいるのー?」
ああ、煩ぇな。
無駄に声でけぇんだよ。
近所迷惑だって何度も言ってんだろうが。
気怠い身体を動かして枕元に置いてある眼鏡を掛けて入口の扉を開ける。
そこにはクラスメイトの3人がいた。
「……み、く」
「え、あ……おおおはよっ!み、皆で朝飯食いに行こう!」
「早く支度しろよ」
「お前待ちだぞ」
それに頼稀と希も。
……あ、そっか。
もうあの家じゃないんだ。
「……ん」
どうやら皆して起こしに来てくれたらしい。
申し訳なく思いながらも早く支度しなければいけないのに起きたばかりで頭が回らない。
「……いま、なんじ?」
「8時10分だよ」
「因みに9時から1限始まるから朝飯の時間差し引いても後10分くらいしか時間ないぜ」
「てか校舎には25分までに入らなきゃ遅刻だぞ」
8時、10…。
「……ああぁああああ!!!」
「「煩い」」
「シー!」
「ご、ごめん!すぐ支度するから!」
「おう」
「急げよ」
「外で待ってるね!」