歪んだ月が愛しくて1



「……別に」



どうでもいい。

イチャモン付けられようと、喧嘩売られようと俺には関係ない。



それに、



「狙われるのは慣れてる」



あの頃からずっとそうだった。

何も変わらない。

ただ相手が変わっただけ。



犯した罪が消えないように、それはどこにいようと常に俺の傍にある。




『       』



……ああ、本当にその通りだよ。



「慣れてる?」



その声にハッと我に返る。
しまった、と思い会長と視線を合わせる。



「お前…」

「、」



……この目、嫌だ。

内側を探るような視線が突き刺さる。



「……冗談、ですよ」



誤魔化そう。

そうしないとこの目から逃れられない。



「普通に考えて狙われるの慣れてるとか有り得ないでしょう。俺一般人だよアンタ達と違って」

「………」

「てかそろそろ歩いてよ。いつまで経っても生徒会室行けないんだけど」

「………」



そう簡単に誤魔化されてくれないか…。

こうなったら逃げるが勝ちだな。



「俺、先行くから」



そう言って会長を連れ戻すことを諦めて歩き出した。
もう会長のことなんて無視だ無視。
生徒会室で待っていればその内帰って来るだろう、ガキじゃあるまいし。



『まるで境界線だな』



……あの時と一緒だった。



俺の嫌いなあの目で痛いところを探そうとする。

しかも強ち間違ってないから質が悪い。



近付き難い人。変人。



そう思う反面、太陽の傍にいる彼等を羨ましいとさえ思う。
きっとそれは俺自身が「太陽」と言う存在に強く憧れているからかもしれない………なんて。



(都合良過ぎるか…)



段々と足音が近付いて来る。
すぐに会長だと分かったが、俺は気付かないふりをして前を向いて歩き続けた。



「………」

「………」



……気まずい。



「………」

「………」



もう一度言おう、気 ま ず い。
そりゃ余計なこと言ったのは俺だけど、だからって隣にいるくせにだんまりはないと思う。一応先輩なんだから年下に気遣えよな。



「……ん?逆か?」

「急に止まんなアホ」



その言葉と同時に会長が俺の頭を小突いた。


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