歪んだ月が愛しくて1
未空Side
尊が生徒会長に就任してから生徒会室は俺達の城になった。
「人に捜させといて自分は暢気にAV鑑賞かよ…」
四つ角に設置されスピーカーから卑猥な音が流れている。
壁に取り付けた大型のテレビには絡み合う男女の姿が映し出されていた。
「何、一緒に見たい?」
ヨージは3人掛けのソファーに寝そべってバイク雑誌を眺めていた。
「冗談。てか見てないなら消せよ。九ちゃんに迷惑じゃん」
チラッと、九ちゃんを見た。
九ちゃんは1人掛けのソファーに座ってこの後の準備を着々と進めていた。
「未空はこう言うの嫌いですもんね」
じゃあ九ちゃんはどうなのさ…、なんて恐ろしくて聞けないよ。
「でも随分粗悪品を借りて来ましたね。女性の肌が汚い」
そう言って九ちゃんはヨージを見て笑った。
いや、そう言う問題じゃないと思うけど…。
「煩ぇよ。女なんて付いてるもん付いてて引っ込むとこ引っ込んでれば勝手に勃つんだよ」
ヨージはソファーから怠そうに上半身を起こしてテレビを消した。本当捻くれてんな…。
「……捜さねぇならせめて準備しとけよ。九ちゃんに全部押し付けんな」
「自分の持分は終わってるよ。後は九澄が今やってるのを終わらせて飾るだけ。お前もそれまでりっちゃんを足止めしとけよな」
「分かってるよ。だからリカには尊捜しを手伝ってもらってるの」
「で、その王様は?」
ヨージは煙草に火を点けて俺を見た。
「見つかんねぇから戻って来たんだよ」
「見つかるまで捜せよな。お前の飼い主様だろうが」
「……そっちこそ手空いたなら捜すの手伝おうとか思わねぇのかよ」
人にばっか面倒なこと押し付けやがって。
尊捜しが一番大変だって知ってんだろうが。
「ハッ、俺が捜したって見つかるかよ」
そう言ってヨージは自傷気味に笑って煙を吐き出した。
俺が捜したってだ?そう言う台詞は一度でも真面目に捜してから言えよな。
「それにアイツを見つけ出すのも連れて来るのもお前の役目だろう?」
「………」
煙草を俺に向けてニヒルに笑う、ヨージ。
俺が否定出来ないと分かっててそれを言うから質悪い。
まあ、それは今に始まったことじゃないけど。