歪んだ月が愛しくて1
「さっすが九澄サマ。手が早いことで」
「貴方と一緒にしないで下さい」
そう言いながら九ちゃんは慣れた手付きでスマートフォンを操作する。
「………ズルイ」
「そんなに知りたければ教えましょうか?立夏くんの連絡先」
「え…、」
いいの?
思わず聞き返しそうになった。
「どうします?僕は構いませんけど」
「………」
本当は聞きたい。
リカのことなら何でも知りたい。
でもそれは俺の一方的なものでリカから与えられたものじゃない。
そんなの…、寂しいじゃん。
「……いいや。リカに直接聞くから」
へらっと笑う。
「何故です?」
「そりゃ…メチャクチャ知りたいけど他の人から聞いても意味ないと思うし…。それに俺はリカから直接聞きたいからさ」
九ちゃんは「そうですか」と言って笑顔を崩さない。
終いには「未空ならそう言うと思ってました」とまで言われた。
どうやら全てお見通しだったらしい。恥ずかしい。
「教えてもらえるといいですね」
「うん!」
初めは多少強引でもいいと思ってた。
それでリカが生徒会に入ってくれるなら、俺達と一緒にいてくれるならそれでもいいって。
でもやっぱりそれだけじゃ全然足りなくて際限ない欲望は増すばかりで消化されずに胸の中で燻っている。
一緒にいてくれると分かった途端これだ。俺ってこんなに欲張りだったのかな。