歪んだ月が愛しくて1
立夏Side
会長の後に続いて生徒会室の扉を潜ると…。
パンッ!パンッ!
重なる強烈な破裂音に目を見開いた。
「「「生徒会にようこそ!!!」」」
……ちょっと待て。
全然状況が読めない。
突如響いたクラッカー音とヒラヒラと舞いながら自分に巻き付く色とりどりの紙テープに呆気に取られる。
耳が痛いと文句を言ってやろうと思ったが、室内の手作り感満載の飾り付けに言葉を失くした。まるで幼稚園の誕生日会のよう………あ。
「えっとー……おめでと?」
「何で俺を見る」
どうやら違ったらしい。
「立夏くん、誕生日パーティーではありませんよ」
おお、流石エスパー九澄先輩。
「てかコイツの誕生日に態々こんな手間掛けねぇよ」
「そうそう。リカのためじゃなかったらね」
「俺の?」
俺の誕生日はまだなんだけど。
「まーたそんな顔しちゃって。本当リカは可愛いなぁ♡」
「どんな顔だよ」
眼科に行け。
「この内装を見ても分かりませんか?」
「……手作りってことは分かります」
金持ちのくせに何でこう言う時だけ出し惜しみすんのかな。
ここの連中からしたら金を掛けるより手作りの方が面倒臭いだろうに。
「手作りの方が気持ちは伝わるだろう」
「気持ち?」
「あっ、バカヨージ!何ちゃっかり自分の手柄みたいに言ってんだよ!それ俺の案じゃんか!」
「発案者がお前なだけであって俺だって率先して手伝っただろうが」
「全然率先してねぇよ!飾り付け全部押し付けたくせに!」
「細けぇこと気にするとモテねぇぞ?」
「俺はリカにだけモテればいいんだよ!」
何が何だかよく分からないが、俺は九澄先輩に促されるまま3人掛けのソファーに座らされた。
テーブルの上にはオードブルやらシャンパンやら、恐らく九澄先輩の手作りケーキやらがずらりと並べられている。
誰かの誕生日ではないと言っていたが一体何のパーティーやら…。ああ、もう考えんの面倒臭ぇな。
「……いい加減教えてよ」
白旗を振った。
「リカの歓迎会だよ」
「歓迎会?なん、の…」
……あ。
「りっちゃんが生徒会に入ってくれた記念に」
「どうせなら皆揃った時にお祝いしたかったので」
「普通これ見たら気付くだろう」
悪かったな鈍感で。