歪んだ月が愛しくて1
「聖楓は余所の学校と違ってちょいと特殊でな。普通なら学園のトップは理事長若しくは学園長だが、ここのトップは理事長の文月じゃなくどっかの傍若無人野郎率いる生徒会だ」
「生徒会?」
「この学園は各界の御曹司共が集まる進学校で有名なんだよ。その中でも生徒会の連中は特に力を持った奴が多くてな。鏡ノ院グループの力を持ってしても歯が立たねぇってわけだ」
「ああ見えても文月も手を焼いてんだよ」と言葉を漏らす紀田先生。
「ふーん…」
あの文月さんが手こずる生徒会か。
それはちょっと気になるかも。
「その傍若無人野郎って誰なんですか?」
「今はノーコメント」
「は?」
「口で言っても分かんねぇだろう。それにここにいる以上何れ嫌でも思い知らされることになるさ」
「つまり自分の目で確かめろと?」
「ああ。でも無闇に近付くなよ」
どっちだよ。
「アイツ等は危ねぇ。何より性格が悪い。でもそんなガキ共をカリスマだのといい学園の頂点に祭り上げている連中がいるのも確かだ。関わらないに越したことはねぇよ」
「………」
紀田先生の話を聞いてると碌な連中じゃないらしい。
又聞きほど怖い情報はないが、そんな連中に関わって面倒事に巻き込まれるのだけは御免だ。
「碌な目に合わねぇのは目に見えてんだろう?だから文月も心配してんだ。生徒会には近付くなよ」
「俺がそんなミーハーに見える?」
「いや。でもあっちはどうかな…」
「あっち?」
俺が紀田先生の言葉に首を傾げると、紀田先生は「いや、独り言」と言って話を逸らした。
「それともう一つ」
そう言って紀田先生が胸ポケットから取り出したものは…。
「………」
「………」
「………何、これ?」
「文月からの入学祝い」
「………」
「眼鏡だ」
「見れば分かるわ」