歪んだ月が愛しくて1
「部活?白樺って何の部活に入ってんの?」
「……華道部、だろう?」
「………」
「おい、無視してんじゃねぇよ」
……嘘。
あの会長が助けてくれた?
さっきまで退学とか言ってたくせに?
「そうなのリカ?」
「え、あー…うんそう。何か部活やってないって言ったら是非華道部に入らないかって誘われちゃって…」
「ふーん、アイツって華道部だったんだ。知らなかった」
俺だって知らねぇよ。
寧ろ会長が知ってることに驚きだわ。
「もういいだろう。戻るぞ」
そう言ってどこか不機嫌そうな会長は未空に抱き付かれたままの俺を強引に引き剥がし俺の後頭部に手を回して歩き出した。
早く生徒会室に戻りたいのは分かるが人の頭を鷲掴みしないで欲しい。
でも今は喉まで出掛けた文句を飲み込んでおこう。
「会長、さっきの…」
未空に聞こえないように小さな声で会長の名前を呼ぶ。
「勘違いするな。白樺のしたことに目を瞑ったわけじゃない」
「でも、やっぱり退学は…」
重過ぎるよ、絶対に。
「今後の奴次第だ」
「え、」
「二度目はない」
「それって…」
退学にしないでくれるってことでいいのかな。
「但し、何かあったら必ず俺に言え」
「何かって…」
「何でもだ。いいな?必ずだぞ」
「………」
あるわけない。
あったら堪ったものじゃない。
でも火種は蒔かれた。
「返事」
何もない、とは言い切れない。
「……王様か」
「あ?」
「嘘だよ。そんな睨まないでも…っ」
「みぃこ〜、何リカとイチャイチャしてんだよ。抜け駆けは禁止だぞぉ〜」
イチャイチャ?
え、これのどこが?
「このバカ猿…、お前どこに目ん玉付けてやがる。てかそれで呼ぶんじゃねぇよ」
「尊だって猿って言うなよな!……あ、ちょっと待って!リカまで置いてかないでよぉ〜!」