歪んだ月が愛しくて1
「そんなことよりも立夏くんが無事で本当に良かったです」
「……え、」
一瞬、何を言われていのか分からなくて反応に遅れた。
「だな。心配したんだぜ」
「……心配?」
俺を?
「何驚いてんの?そんなの当たり前じゃん!」
「……ごめん、迷惑掛けて」
「迷惑なんかじゃないよ!ただリカが心配だったの!リカは俺達の仲間なんだから!」
何恥ずかしいこと言ってんだか。
いつもならそう言って適当に返していたのに、目の前にいる未空があまりにも真剣な顔をしていたからつい言いそびれて自分でも何て言っていいか分からなくなった。
『なーに変な顔してんのさ?俺達もう仲間っしょ!』
……ああ、またアイツと被る。
俺に初めてそう言う感情を教えてくれた人。
アイツがいたから俺はもう一度この世界で生きてみようと思えた。
だからあの家に戻ることが出来たし文月さんのイジメにだって耐えられた。
でも、そんなアイツを俺が…、
『…ごめん、シロ……』
「、」
……忘れるな。
俺の存在がアイツを傷付けた。
俺がいなければアイツがあんな目に遭うことはなかった。
だから俺は罰を受けなきゃいけないんだ。彼等に心配される資格なんてない。
それなのに…、
「心配して、くれたの…?」
頭の中が混乱する。
「もうっ、だからそう言ってんじゃん!」
「当然っしょ?」
「立夏くんは僕達の仲間なんですから心配するに決まってるじゃないですか」
「何驚いてんだよバカ」
戸惑いと、不安。
……だって、こんなの知らない。
俺にはこの感情の名前が分からない。
教えてくれよ。
俺は、どうすればいいんだろう―――。
「……陽嗣、いい加減離せ」
「あ、」
……忘れてた。
「チッ、バレたか」
「態とらしいんですよ貴方は」
「早くリカから離れろ!リカが穢れる!」
「俺はバイ菌か!?」
「何言ってるんですか。バイ菌に方がまだ可愛いですよ」
「バイ菌に失礼だよ、バイ菌○ン」
「とっととそいつを離せ、バイ菌○ン」
「バイ菌バイ菌煩ぇんだよ!誰がバイ菌だ!歴とした人間だわボケ!」
「陽嗣先輩バイ菌以下…、かわいそ…」
「だっしょう?俺かわいそーっしょ?りっちゃん癒し…「「「離せ、バイ菌」」」
「バイ菌…(笑)」
少しずつ、でも確実に近付く彼等との距離。
こっちのバリケードなんてお構い無しにぶっ壊して入り込んで来る。
このままでいいわけがないのは分かってる。
ここは自分の居場所じゃない。
居場所なんて作っちゃいけないんだと自身に強く言い聞かせて。
だけど抗えない何かが俺を蝕む。
目が眩むような強烈な光によって…。