歪んだ月が愛しくて1



「それと立夏くんが生徒会に入って少し経ちますが、まだ役職を決めていませんでしたね」

「あ、そう言えば」

「役職?」

「俺で言う書記みたいなもんよ」

「あー…」

「特に焦って決めることではありませんが折角の機会ですから今ここで決めちゃいましょう。何か希望はありますか?」



希望か…。

あるような、ないような。



「うーん…」

「なーに迷っちゃってんの?りっちゃんは俺と一緒に書記がやりたいんだよなぁ」

「一言も言ってませんけど」

「バカヨージ!リカは俺と会計に決まってんじゃん!ねぇリカ?」

「初耳だわ」

「おい猿!適当なこと言ってんじゃねぇぞ!」

「そっちこそ!リカを独り占めしたいからって適当なこと言うなよな!」



……煩い。

これってもうお決まりのパターンなの?

毎回これに付き合わなきゃいけないわけ?



だっる…と声に出してしまいそうになった時、背筋が凍るような恐ろしい声が降って来て言葉を噤んだ。



「2人の意見は聞いてないんで黙っててもらえますか?」

「「ハ、ハイ…」」



……うん、俺は見てない。

九澄先輩の殺人スマイルなんて見てない。



「特に希望がないようなら(一応)生徒会長である尊が決めることになっているんですが」

「不思議だな。お前の心の声がよく聞こえる」

「気のせいですよ」



ははっ、見えない見えない。



「どうです?」

「……希望は、ないです」



でも会長が決めるとなると何か嫌な予感がする。
チラッと横目で会長を盗み見るとムスッとした表情で俺を睨み付けていた。



何故?


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