歪んだ月が愛しくて1
そんなことを考えていると頼稀は静かに話し始めた。
「お前、立夏に絡み過ぎ」
誤魔化しのない直球な一言。
最初は何を言われたのか分からなかったけど次第に俺の頭は冷静さを取り戻す。
「………は?何それ嫉妬?」
言葉の意味は理解したものの何て言っていいか分からない。
何それ?どう言う意味?
リカに絡み過ぎだったら何だって言うのさ?
「茶化すな。俺が言いたいのは…」
「「「キャャアアアアアア!!!」」」
突然の黄色い歓声が頼稀の言葉を遮った。
俺と頼稀が耳を塞ぎながらステージに目を向けるとそこには見慣れた顔触れが揃っていた。ただ1人を除いては。
「皆さんおはようございます。今年も生徒会企画の新入生歓迎会は始めたいと思います。司会を務めます副会長の皇です」
九ちゃんの王子様スマイルに再び歓声が響き渡る。
「キャー!」
「九澄様ステキ〜!」
「ああ、何て女神のような微笑みでしょう!」
「もう天に召されてしまいそう…」
そのまま召されてしまえ。
「前置きはさて置き早速本題に入りましょう。皆さんも既に知っての通り今年の新入生歓迎会の午前の部はオニごっこを行います」
確か一般投票で決めたんだっけ。
この歳になってまでオニごっこしたい奴なんて本当にいるのかよ。
「ルールは簡単です。オニは逃げている人を捕まえてこのバッチを相手から奪って下さい。バッチを盗られた時点でその人はゲーム終了です。捕まえてもバッチを盗らなければ意味がないので注意して下さい」
そう言って九ちゃんは校章くらいの大きさのバッチを頭上に掲げて説明する。