歪んだ月が愛しくて1
「だる…」
「言うと思った」
頼稀は見ての通り結構な面倒臭がり屋だ。
こう言った行事にはいつも不参加だったのに何で今回に限って真面目に参加してるのか不思議だった。
『お前、立夏に絡み過ぎ』
……まさかね。
「逃げる人は全部で100名。その方達はこちらで指名します。まず3年は…」
2、3年生合わせて60人。つまり1年の中から40人が選ばれることになる。
その中にリカも入ってるのか…。
「大丈夫かな…」
尊め、自分に都合の良いように仕向けやがって…。生徒会長の権限をフルに使い過ぎだろう。
「1年は―――………風魔頼稀、仙堂未空、藤岡立夏。以上の100名となります」
「「………は?」」
俺も?
しかも頼稀まで?
「逃げる側は少々大変かもしれませんが精一杯頑張って下さいね」
そう言ってニコッと微笑む九ちゃんに大半の奴等が目をハートにして頬を赤く染めているけど、俺は騙されないぞ。
だって俺には「精々頑張って僕を楽しませて下さいね」って聞こえるし、何より九ちゃんの紫暗の瞳が俺と頼稀をバッチリ捕えていた。
「……どうやらハメられたようだな」
「みたいだね…」
俺は頼稀と顔を見合わせてガックリと肩を落とす。
宣言通りだったとは言えきっとリカもこんな感じなんだろうな。
「では名前を呼ばれた人達はスタート地点でバッチを受け取って下さい」
ステージ上には九ちゃんとヨージの姿がある。
尊は……またいつものサボりか。一応生徒会長なんだから行事には積極的に参加しろよな。
そのくせリカと勝負なんて図々しい。
『なら、勝負するか?』
でも初めてだった。
あんな生き生きとした尊を見たのは生まれて初めてかもしれない。
普段は滅多に笑わないし出不精だから自分から積極的に行動するなんてことはまずなかった。
そんな尊を見たらこっちまで楽しくなってついつい止めるのを忘れてた。まあ、俺が止めたところで聞くような奴じゃないからってのもあるけど。