歪んだ月が愛しくて1



「尽く邪魔してくれるな」



刺々しい声。



「お前も、御幸陽嗣も」



ヨージの発言が原因か将又別に理由があるのか分からないけど、頼稀が俺達に対して良くない感情を抱いてるってことはよく分かった。



「……俺達が邪魔?」

「ああ、邪魔だ」



そこまではっきり言わなくてもいいのに…。

本当頼稀って俺達のこと嫌いだよな。



「俺達が何したって言うのさ?」

「ハッ、自覚してねぇのかよ」



そう言って乾いた笑みを漏らす、頼稀。



「公衆の面前でああ言うことをするってことはな、立夏に余計な敵を作ることと同じなんだよ」

「……分かってるよ」



頼稀が言いたいことは分かってる。
リカが生徒会に入ったことを宣言すると言うことは覇王の後ろ盾を主張することだけでなくリスクも伴う。
頼稀はそれを分かっているから俺やヨージがリカにちょっかい出すのが気に入らないんだ。
俺だって人前でリカに構うことが良くないのは分かってるよ。
でもリカを前にすると色んなもんが押さえられなくて、気付けばいつも感情の赴くままに行動していた。
白樺のことだって本当はヨージだけのせいじゃない。
確かに裏で糸を引いてたのはヨージだけど親衛隊を好き勝手させてるのは俺達だし、元はと言えばリカを生徒会に誘ったのは俺だ。
だから元を正せば全部俺のせい。リカが生徒会に入ればこうなることは目に見えてたのに。
そのくせ昨日はリカに謝らせて、仕舞いには感情が爆発してキスまでしちゃった。俺ってサイテー。



「……分かってねぇから言ってんだよ」



頼稀に言われて改めて思い知らされた。



「本人こそ自覚してないが立夏はあの容姿だ。眼鏡を掛けてても分かる奴には分かっちまう。それに何かと色んなもんを引き寄せる体質だからそれを邪険に思う奴も当然出て来る。今回で言えば覇王親衛隊がそれだ」

「………」



自分勝手で、無知な自分を。


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