歪んだ月が愛しくて1
「しかもよりによって生徒会なんて一番厄介なところに縛りやがって…。これじゃいくら俺達でも手が出せない」
俺達?
「何でアイツに構う?それなりに見た目が良い奴なら他にもいるじゃねぇか。何でよりによって立夏なんだよ…」
頼稀は眉を顰めてそう言った。
悔しそうで、寂しそうな声で。
「俺は、ただリカが放って置けなくて…」
「余計なお世話だな」
頼稀の言葉にムッとする。
まるで俺のリカに対する想いを全て否定されているようでムカついた。
「……それはこっちの台詞なんだけど」
「自分のこともまともにケリ付けられねぇお前に立夏を心配する資格なんてねぇよ」
「っ!?」
ヒュッと、思わず息が詰まった。
『何よ!何なのよその目は!そんな目でこっち見てんじゃないわよ!』
いつかの言葉が脳裏に過ぎる。
いや、埋め尽くそうとしている。
『アンタなんて生まれて来なければ良かったのよ!』
「な、で…」
『今日からここがアンタの家よ』
「おれ、は…っ」
「………」
忌々しい過去が俺を殺す。
きつく、きつく蓋をしていたはずなのに。
「……お前も、アイツと一緒だな」
呼吸が荒い。
心臓がバクバクする。
「アイ、ツ…?」
頼稀は俺に誰かを重ねていた。
でもその誰かについては教えてくれなかった。
その代わりに俺の呼吸が整うまで待っていてくれた。
「大丈夫か?」
優しいのか意地悪なのか分からないな。
「……うん」
頼稀はよく分からない奴だ。
でもリカやのんちゃんには人一倍優しい。
きっと頼稀にとってリカとのんちゃんは特別なんだ。
それを羨ましいとは思わないけどその理由は気になっていた。