歪んだ月が愛しくて1
「……頼稀って何者?」
「あ?」
「だって可笑しいじゃん。何で俺のことまで知ってんの?」
『アンタなんて生まれて来なければ良かったのよ!』
「何で、あんなことまで…っ」
「……必要だと判断したからだ」
「必要?」
「立夏が生徒会に入った以上立夏にとっての不要分子は排除しなくちゃならない。そのためにはお前達のことを把握する必要があったからな」
不要分子?
排除?
「……何で?何で頼稀がリカのためにそこまでするの?」
「俺にはアイツを守る義務がある。お前とは違ってな」
「………は、」
俺には分からなかった。
頼稀が何でそんなことを言うのか。
「どう言う、意味…?」
頼稀にとってリカは何?
リカを守る義務ってどう言うこと?
「………」
「……何、黙ってんの?」
「お前には関係ないことだ」
「、」
『アンタには関係ないでしょう』
「は、ははっ…、何関係ないって」
『だってアンタは―――…』
「関係、なくないよ。だって、俺は…っ」
『いらない子なんだから』
「いらなくなんて、ないっ!!」
言いたいことだけ言って肝心なことは何も言わない頼稀にカッと頭に血が上った。
「おれ、は…っ」
「………」
頼稀の胸倉を掴んで自分の方に引き寄せると遠くの方でリカの声が聞こえた。
精神安定剤のような凛とした声に振り返ればタイミングが良いのか悪いのか3人一緒にこちらに向かって歩いて来た。
「リカ…」
リカの姿に頼稀の胸倉を掴んでいた手がゆっくりと離れる。
「2人共ここにいたんだ」
「何やってんだよこんなところで?ずっと捜してたんだぞ」
「悪い。少し話し込んでた」
「話?」
こてっと、リカは首を傾げて頼稀を見上げる。
(ああ、その顔…)
何で頼稀なの?
何で俺じゃダメなの?
そんな醜い本心が顔を出す。