歪んだ月が愛しくて1
「………」
「ふーん…」
つまらなそうな声。
これで俺への興味は失せたことだろう。
……それでいい。
ミーハー心剥き出しの興味なんて迷惑でしかない。
だって結局は全部自分に返って来るから。
うざったい視線も、煩わしい笑い声も、かけがえのない思い出も…。
『 』
……ああ、クソ怠い。
この後の授業サボろうかな。
サボるとしたら定番の屋上?
それかその辺の空き教室で時間を潰すか。
(まあ、誰もいないならどこでもいっか…)
今は独りになりたい。
寧ろ独りでいるべきなんだと思う。
家族も仲間も友達も他人と馴れ合うべきじゃないんだ。
きっとそれは俺自身のためであり他人を傷付けないための最善策でもあるから。
「でもリカって本当はそう言うの気にしない人でしょう」
「………は、」
は?
隣から空色の瞳が「違う?」と言いたげな視線を送って来る。
……いやいや、は?
何違うって?
「アンタ、何言って…」
「あ、それと俺はアンタじゃないからね!」
彼の言葉が理解出来ない。
理解したいとも思わないが、その声がやけに耳に付く。
「俺、仙堂未空って言うんだ!未空って呼んでな、宜しく!」
『…ごめん、シロ……』
「、」
右手を差し出す彼に戸惑う。
無邪気な笑顔を向ける彼がアイツの面影と重なって見えた。
「…、……カ…」
俺のせいで傷付いたアイツが脳裏に過る。
それと同時に頭に激痛が走る。
まるでその痛みが俺に訴え掛けているようだった。
過去の罪を忘れるなと。
ひゅっと、一瞬呼吸が出来なかった。
「…カ、………、リカ!」
「………な、に?」
「どうしたの急に黙って?頭痛いの?」
「別に…」
「そう?体調悪いなら無理しないでね」
よしよしと、未空は俺の頭を撫で回す。
「……何?」
「痛いの痛いの飛んでけー」
ガキか。
「いらない」
パシッと、未空の手を払って顔を背ける。
そんな俺の態度に未空は驚いたように空色の目を丸くさせ払われた手をジッと見つめていた。