歪んだ月が愛しくて1



「さて、ここでクイズだ。何で俺はこの場所でお前と会えたんでしょう?」

「は?」



何でって…。



「偶々じゃねぇの?」

「まっさか。俺はお前がここにいるって知っててここに来たんだぜ。ここまで言えば分かるよな。九條院が何でオメー等の前にタイミング良く現れたのか」

「……まさかっ、カメラで俺達のこと見てたのか!?」

「ぶっぶー。惜しいけど不正解。正解はそれ」

「それって…」



ヨージは俺の胸に付いているバッチを指差してとんでもないことを口走った。



「ししっ、発信機♡」

「……ハッ、死ねば?」

「残念、そう簡単には死なねぇよ」



マジでとんでもないな。
たかがオニごっこにそこまでするか。……いや、アイツならするかも。



「さて、残り時間は約20分。後はお前とりっちゃんの2人だけだぜ」

「げっ、マジかよ」



100人もいてもう2人だけ?
他の奴等どんだけ雑魚なんだよ。
これじゃあ時間稼ぎにもならないじゃん。



「マジマジ。だからさ、そのバッチ俺に頂戴♡」

「語尾にハート付けんなキモヨージ!」

「誰が紐ヨージだ!」

「言ってねぇよ!」



とうとう耳まで腐ったか!



「誰がヨージなんかに渡すかよ!俺は頼稀とは違うんだよ!」

「あっそ。なら力づくで奪うしかないってことか、平和主義なんだけどな俺…」

「白々しいんだよ。端っからそのつもりだったくせに」

「あ、バレたー?」

「バレバレ」



大体平和主義ってなんだよ。

そんなの俺達には一番無縁じゃん。



「寝技は得意よ、俺」

「言ってろ」



一定の距離を保ちながらヨージの動きに集中する。
ヨージが動いた時にすぐ反応出来るようにしとかないとそれこそ一瞬で終わってしまう。油断は出来ない。



「………」

「な、何だよ…?」

「……いんや。ただお前でもご主人様に刃向うこともあるんだなと思ってよ」

「っ、刃向ってるわけじゃない!俺はただリカを…!ヨ、ヨージだって始めは文句ばっか言ってたくせにちゃっかり尊側に付きやがって!この裏切り者!」

「まあ、確かに尊専属ってのは気に入らねぇけどよ。……でも、楽しそうだろう?」

「サイッテー」

「知ってる」

「リカは玩具じゃねぇんだよ!俺が絶対にリカを守る!」

「やれるもんならやってみな」

「上等だ!」



土埃が舞う中、俺はヨージ目掛けて走り出した。


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