歪んだ月が愛しくて1



立夏Side





「会長…」



やっぱりラスボスはアンタなわけね。

宣言通りと言うか何と言うか…、本当ムカつく。



「やっと見つけたぞ」

「………」



会長と距離を取るために少しずつ後退する。
俺としたことが会長の気配にまるで気付かなかった。
以前の俺なら考えられなかったのにここに来て勘が鈍ったようだ。平和ボケも大概にしねぇとな。



「そんな警戒すんなよ」

「……しないわけないじゃん」



今はゲームに集中しよう。
油断してバッチを盗られたら元もこうもない。
逃がしてくれた未空と頼稀のためにも俺は会長に勝たなければいけない。



「残り20分か…。どうする?」



会長は腕時計で時間を確認する。



「見逃してくれるわけ?」

「今ここで俺専属の庶務になるって宣言するんだったらな」

「ぜってぇ嫌」

「だろうな」



会長は俺の反応を見て楽しんでいた。
その証拠に滅多に笑わない会長の口元が弧を描く。
ムカつく顔しやがって。無駄にイケメンだから絵にはなるのが余計腹立たしい。俺の座右の銘が「イケメンは敵」になりそうなんだ。



「なら、精々足掻いてみろよ」

「言われなくてもそのつもりだよ」



さて、どうやって逃げ切ろう。
ここは無難に足の速さで勝負するか。いや、特別足が速いわけじゃないからそれは危険だな。
もっと確実な方法で勝負するとしたら一つしかないが出来ればそれはしたくない。だとしたら…。



すると突然ザザザァと変な音が耳に飛び込んで来た。



「スピーカー?」



その音に視線を上げると街灯や木の枝部分に四角い箱のようなものが取り付けられているのが見えた。音の出所はあれだな。



『大講堂からオニごっこ中の皆さんにご連絡します』
  


スピーカーから聞こえて来たのは九澄先輩の声だった。



『ゲーム終了まで残り15分となりました。最後の1人を捕まえられるのは一体誰でしょう』



……ん?

あれ、幻聴だよな?



『立夏くん、頑張って下さいね』



え、俺名指し?

しかも頑張れってことは…、


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