歪んだ月が愛しくて1
尊Side
「ざぁこ♡」
藤岡はまるで小悪魔みたいな笑みを浮かべて俺に向かって吐き捨てたかと思えば物凄いスピードで森の中を駆けて行った。
その後ろ姿に自然と口元が緩んだのは言うまでもない。
「……分かってねぇな」
俺と対峙した時のギラついた瞳と反対に幼稚な言動。
そのアンバランスさが俺の笑いのツボを刺激した。
挑発されたと言うのに怒りなんてこれっぽっちも沸いて来なかった。
本当、退屈しねぇな。
「面白い」
逃がさねぇよ。
お前は必ず俺が捕まえてやる。
俺は発信機の位置を確認して藤岡の後を追い掛けた。