歪んだ月が愛しくて1
「ま、おバカな未空と頼稀は置いといて…」
「未空と一緒にすんな。バカが移る」
「俺も!頼稀と一緒にされるなんてしんがーい!」
「それはこっちの台詞だ」
未空と頼稀の言い合いは続く。
そんな2人を華麗に無視して希はもう1人の友達を紹介してくれた。
「じゃじゃーん!紹介しよう、1年C組我等がアイドル!エンジェル葵ちゃんでーす!」
エンジェル?
「もう希くんってばやめてよ!恥ずかしいな!えっと…武藤葵です。これでもクラスの副委員長を任せられています。何か分からないことがあれば遠慮なく聞いてね、立夏くん」
未空の後ろからひょいと顔出して控えめにはにかむ彼。
栗色のショートボブにまだ幼さのある顔付き。その姿はまるで…。
「……天使」
「へ?」
きょとんとした顔で首を傾げる天使こと武藤葵。
エンジェルと呼ばれるだけあって女子顔負けの中世的な容姿だ。
「だしょう!ほーら、やっぱりエンジェル葵じゃん!」
「俺に同意を求めるな」
「もう連れないわね頼ちゃんは。立夏も葵のこと可愛いと思うよな?」
「うん」
「ほれみー!可愛いってさ!」
「可愛くないよ!いつもいつも言ってるでしょう!」
「本人はこう言ってるが?」
「本人の意見は尊重しません。これ佐々山流」
「聞いたことねぇよ」
「この間決まったんですぅ〜」
そう言って口を尖らせながら頼稀とじゃれ合う希。
じゃれ合いながらも希の手は葵の頭をくしゃくしゃと撫で回していた。
(友達ね…)
ま、俺には関係ないか。