歪んだ月が愛しくて1



未空Side





「うん、ごめん」



そう言ってリカは困ったように微笑んだ。
そんな顔をさせたかったわけじゃないのに何でこうなっちゃうかな。



「……許さない」

「え、」



俺が見たいのはもっと別の表情なのに…。

そう思ったらリカの頬に自分の顔を寄せていた。



「これで許してあげる」



リカの頬に態とリップ音を立てて唇を落とす。
俺がニヤリと笑うとリカは真っ赤に染まった頬を両手で隠した。



「なっ!?」



あ、可愛い。

そう言う反応もダメだよ。寧ろ逆効果だって。



「ほ、ほっぺにチューって…」

「顔赤いね」

「……煩い。こっち見んな」



フイッと、リカは頬を赤くしたまま俺の身体を両手で押し退けようとする。
仕方なくリカから身体を離すとリカはクッションに顔を埋めて何やら唸っていた。
ああ、もう可愛いな。本当何やっても可愛いくて心臓が痛い。
さっきまでのモヤモヤしたものがどこか行っちゃったよ。
はぁ…、俺って単純かも。



俺は抱き締めたい衝動を抑えてリカと向かい合うようにフローリングの床に座り込んだ。



「……俺も、ごめんね」

「何が?」

「だって俺もヨージに捕まっちゃったから。リカのこと守るとか大きなこと言ったくせに結局足引っ張っちゃったし」



ヨージの存在はノーマークだった。
まさかヨージまで尊側に付くなんて思ってもみなかった。
自分だってリカが尊の専属になるの反対してたくせに…、あの裏切り者め。



ただヨージの場合は違う意味で警戒してたけど。



中立的な立場を守る九ちゃんも今回は何故か尊に付いてアゲハを使ってまで頼稀を潰しに掛かった。
誰も味方がいない状態でそれでも俺はリカを守りたいと思ってたのに。



「何だ、そんなことか」



リカの言葉が俺の思考を遮断する。



「未空が謝ることないよ。だって未空は俺のこと助けてくれたじゃん。その頬の傷だって…」



リカの小さい手が俺の頬を優しく撫でる。

ああ、やっぱり気付いちゃったか。



「……ごめん」

「俺のはいいの。別に痛くないし俺が油断したせいだから。でも庶務のことは…」

「あー…もうなるようになれって感じ。俺の方こそ折角逃してくれたのに捕まっちゃってごめんね」



そう言ってリカは苦笑した。
無理に自分を納得させようとするリカを見たらそれ以上何も言えなかった。


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