歪んだ月が愛しくて1
尊Side
「侵入者?」
カタカタとキーボードを叩く音が静かな生徒会室に木霊する。
九澄はパソコンを操作するなり神妙な面立ちで口を開いた。
その言葉に俺と陽嗣は身を乗り出してパソコンのディスプレイを覗き込んだ。
「ええ。それも複数いるようです」
「どう言うことだ?」
「これを見て下さい」
九澄は学園内に設置されている防犯カメラの映像を見せた。
「ここどこ?木ばっかじゃん」
「……裏庭か」
「はい。でも見て欲しいのはこの部分です」
九澄がディスプレイのある部分を指差す。
そこには黒い人影のようなものが映し出されていた。
「これは…、人影か?」
「鮮明化するとはっきりと人型なのが分かります」
「あ、ほんと」
「少なくとも10人以上は映っています」
「誰よコイツ等?」
「分かりません」
「は?分からないって…」
「……それで侵入者ってわけか」
曖昧な物言いをすると言うことは連中の目的が判然としないってことか。
「警報システムは作動したのか?」
「システム自体は正常に作動したようなんですが…」
「何か問題発生?」
「システムが作動してたら風紀が出張るだろう」
「それが…、どうやら風紀はシステムの誤作動だと判断したらしくカメラの映像まで確認していないようなんです」
「あら、めっずらし」
「職務怠慢だな」
「貴方には言われたくないと思いますけどね」
「あ?」
「いえ、独り言です」